「心不全や高血圧の合併症(脳卒中、腎臓病など)を起こす大きな原因」
「家で定期的に血圧をはかり、家庭血圧が目標の範囲にあるかを確認する」
「人の体にはある程度の自動調整のしくみがある」
聴衆に合わせた話し方
聴衆の構成に合わせて、話す内容を少し変えました。
まず伝えたいのは、多くの心不全の患者さんは主に循環器内科で治療を受けているということです。
症状がはっきりしない人や、心臓の働きがまだあまり落ちていない人だけが、家庭医(総合診療)で見つかることもあります。
重い心不全の患者さんは、やはり循環器の専門医が見るのがよいでしょう。
でも、家庭医も「どんな薬が心不全に使われるか」を知っておくことが大切です。
そうすれば、初期の評価や専門医への紹介の前に、患者さんによりよいアドバイスができます。
家庭医の中心となる仕事
家庭医の中心の仕事は、心不全を起こす慢性病を防ぐこと・コントロールすることです。
たとえば、高血圧・高血糖・高脂血症です。
その中でも、血圧が目標に達しているかどうかはとても大事です。
臨床では、長い間血圧がコントロールできていない患者さんが多く見られます。
これは、心不全や高血圧の合併症(脳卒中や腎臓の病気)の大きな原因です。
もし早く見つけて、早く治療を始めることができれば、病気が悪くなるリスクを大きく下げることができます。
血圧が下がらないとき
よくある課題の一つは、5種類以上の降圧薬を使っても血圧が下がらないことです。
その原因はいくつもあります。
薬をきちんと飲んでいない、薬の組み合わせが合っていないなどです。
でも一番大切なのは、家で定期的に血圧をはかることです。
家庭血圧が標準の範囲にあるかを自分で確認することが大事です。
しかし、これを続けてやることができる患者さんは少なく、そこが一番の難しさです。
特に、病気の管理をあまり気にしない人にはむずかしいことです。
自費治療の選択
場合によっては、自費でできる治療をすすめることもあります。
これは患者さんにとってお金の負担になりますが、
合併症や臓器の損傷を防ぐことができる可能性があります。
中には、よりよい治療効果のために多く払ってもよいと思う人もいます。
だから、わかりやすい説明と信頼できるコミュニケーションがとても大切です。
最終的には、患者さんの経済力と意向を考え、
最も合う・受け入れやすい治療法を一緒に決めることが必要です。
質問の時間
講演のあと、質問がありました。
「人によって、血圧の下がり方に違いがありますか? 低血圧の副作用は多いですか?」
講師の先生は答えました。
臨床の考え方や循環器内科の経験を説明しながら、
排糖薬の例を出しました。
「人の体には自分を守る自動調整のしくみがあります。
血糖が下がりすぎないように働くのと同じように、
血圧も簡単には危険なほど低くなりません。」
最後に、司会の林先生の紹介とサポートに感謝を伝え、
また次の交流を楽しみにしていると話しました。